ヘタレ王子とヤンキー姫
さらに続ける。

「颯太みたいに男らしくなりたいって、思うこともあった。でもね、今日の樺音を見て安心したんだ。このままでもいいって…だから…このままでもいいかな?」

「当たり前だろ。」

樺音は春樹の頭を撫でて、抱き締めた。

樺音より少し、背の低い春樹は、顔が隠れてしまう。

今の春樹にはそれがちょうどよかった。

樺音はもう、悩むのをやめた。

無理強いをしても、きっとストレスになるだけ。

それに、自分が傍にいて守ってやりたいとも思っていた。

何があっても、離れない限り、ずっと傍にいて守ってやろうと決意した。

「樺音…苦しいよ。」

「あっわりぃ…。」

樺音は春樹を離した。

お互い、急に恥ずかしくなって無口になる。

「そういや理名さんから連絡来てないのか?」

空気に耐えきれず、樺音が聞く。


「来てたよ。帰るってメールしたら、気を付けて帰っておいでって。」

「そっか…。」

そこから家につくまで、二人は無言だった。
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