会いたい
窓の外には、中学生の甲高い笑い声。
走るたびに学生かばんの中の道具がゆれてもらす、くぐもった音。
ばたばたと遠ざかる運動靴。
それらすべてが、異空間の出来事であるかのように感じられた。
学校という空間は、ひどく特別だ。
大勢の人間がひしめき合っているのに、いなくなった途端の奇妙な余韻。
残像のように残る密やかな気配。
扉を隔てて、彼岸と此岸があるような。
その不可思議な静寂を私はとても好きだった。