会いたい

「――」

 何事もなく1日が過ぎたことに感謝した。
 朝はお見合いの件がみんなにばれていたらどうしようとひやひやしたが、あれからその話題は他の先生たちからも、勿論生徒たちからも出なかった。

 どうやら気にしすぎだったようだ。

 生徒たちもみな帰ったようだ。
 生徒玄関はひっそりとしている。
 私は準備室を出て、ピアノの周りを片付けた。
 荷物を片付け、電気を消し、職員室へ向かう。

 これが私の日常。

 それ以上でも、それ以下でもない。
 ありふれた、私の生活。
 これでいい。
 変わることなど、望んでいない。

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