会いたい

 どうやら遊び半分で来たらしい。
 そこで本物を見つけて、予想外の出来事に慌てたというわけか。
 でも、あんな関係もない子供の前に現れて、なぜ私の前には出てこないのだ。あの薄情者は!?
 憤りを感じつつも、私は中へと入る。
 土足のまま階段を上って、開いたままの奥の部屋へと駆け込んだ。
 この部屋は、透の部屋だったのだ。

「とおる!!」

 確信を持って、私は叫んでいた。
 そして懐かしい姿を探した。
 だが、まっすぐに私の視界に飛び込んできたのは。

「――?」

 透とはまったく違う、黒ずくめで長身の、本当に若い幽霊だったのだ――


< 7 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop