会いたい

 透。透。教えて、どうすればいいの?

 けれど透の声は、今は聞こえない。
 私の問いに答えてくれる記憶の中の透の言葉は、何もなかった。
 この感情はただの感傷に過ぎないのか、警告なのか。

 本当ニ、コレデイイノ――?

「――」

 だが結局、私は黙って見送ることしかできなかった。
 それ以外の何が、私にできただろう。
 さしのべてくれる手を払ったのは、私のほうなのだ。もういない温かな手を、忘れることもできないで。

 目の前の空いた席。

 二人のために用意された席に一人残る私は、ひどく淋しく見えるだろう。

「――」

 ひどくやりきれない感情が、私の心を重くした。
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