夏恋~小さくて素敵な恋~
しばらくボーッとしていると、
奈「奈留、携帯鳴ってるよ?」
「え?」
奈々ちゃんの声に我に返る。
携帯を見ると、確かに着信画面が表示されていた。
あたしは部屋の外に出た。
電話の相手はお父さんだった。
「もしもし?」
[奈留!何回も電話したんだぞ!]
「そうなの?…ごめん。」
ずっとマナーモードにしていたから着信にも気づかなかった。
「それで、どうかしたの?」
電話の向こうのお父さんは何か焦っているようだった。
[それが、幸(サチ)が病院に運ばれたんだ…。]
「え…。」
幸とはあたしのお姉ちゃんで、2年前に結婚した。
そして今妊娠中だ。
一体何があったんだろう。
まさか産気づいたのだろうか。
でも、予定日まであと一ヶ月以上もある。
もともと身体も弱かったから、少し早くなるかもしれないとは聞いていたけど、これはあまりにも早すぎる。
電話口のお父さんは冷静だったけど、いつもの声と違い緊張していた。
良くない記憶が頭をよぎる。
「今すぐ行くから!!!いつもの病院だよね?」
[あぁ。父さんは先に病院にいく。気をつけて来るんだぞ。]
「わ、わかった!!!」
電話を切り、震える手を抑え急いで部屋の中に戻った。