夏恋~小さくて素敵な恋~



「もう我慢できない!奈留、屋上行くよ!」

「え~…もっと暑いよ!」

「風があって涼しいかもしれないよ♪行こっ!」

「あ、ちょっと!」



グイっと腕を引っ張られ、そのまま屋上に行く事に。



こういう時の里美は強引なんだから。



「もうすぐ授業始まっちゃうよ!」

「大丈夫!パッと行って帰ってくるだけだから♪」



笑顔で振り返った里美。



それでもっと暑くなる気が…。



でもなんだか楽しそうに見えて、



「もう…。仕方ないなぁ。」

「ありがと!」



ついつい許してしまった。



屋上へ続く階段を登り、ドアの前にたどり着く。



ここに来るまで予想していた通り、汗が額に滲む。



やっぱり…来ない方がよかったかも。



人の気も知らないで、里美は屋上のドアを開けた。



すると、ドアの向こうから風が吹き込んできた。



あれ?なんか心地いいかも。



一歩踏み出すと、綺麗な青空が広がっていた。



大きくて白い入道雲。



ギラギラと大地を照り付ける太陽。



そして、スーッと吹く風。



< 7 / 102 >

この作品をシェア

pagetop