夏恋~小さくて素敵な恋~
「もう我慢できない!奈留、屋上行くよ!」
「え~…もっと暑いよ!」
「風があって涼しいかもしれないよ♪行こっ!」
「あ、ちょっと!」
グイっと腕を引っ張られ、そのまま屋上に行く事に。
こういう時の里美は強引なんだから。
「もうすぐ授業始まっちゃうよ!」
「大丈夫!パッと行って帰ってくるだけだから♪」
笑顔で振り返った里美。
それでもっと暑くなる気が…。
でもなんだか楽しそうに見えて、
「もう…。仕方ないなぁ。」
「ありがと!」
ついつい許してしまった。
屋上へ続く階段を登り、ドアの前にたどり着く。
ここに来るまで予想していた通り、汗が額に滲む。
やっぱり…来ない方がよかったかも。
人の気も知らないで、里美は屋上のドアを開けた。
すると、ドアの向こうから風が吹き込んできた。
あれ?なんか心地いいかも。
一歩踏み出すと、綺麗な青空が広がっていた。
大きくて白い入道雲。
ギラギラと大地を照り付ける太陽。
そして、スーッと吹く風。