夏恋~小さくて素敵な恋~



あれから、二時間ほど経過した。



分娩室のランプは付いたまま。



お父さんとも合流し、今は誠二さんと三人で椅子に座って中から現れる人を待つ。



「ちょっと外の空気吸ってきます。」



待つ時間の空気に飲まれそう。



思わず外に逃げ出したくなった。



病院の中は嫌いだ。



清潔な白と消毒薬の匂いが嫌いだ。



この見慣れた緑の椅子も。



見慣れた売店や自動販売機も。



受付にある見慣れた大きなテレビも。



見慣れた大きな観葉植物も。



見慣れている病院のすべてが嫌いだ。



外に出て、病院の近くのバス停の椅子に腰を下ろす。



やっと外の空気が吸えた気がした。



病院の中に何年もいた気分だった。


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