君と手をつなぐ話
エドモンドは、バスタブの足もとの方に蛇口をつくった。


バスタブに向かって首を傾ける、華奢な細工の蛇口も猫足にならって金色にした。


供給される、熱いお湯がバスタブを再びあたたかくしていく。


しかしなにかが物足りない。

そうだな、誰かがいればよい。

ふむふむ、そうだ。

しかもそれは女の子がよい、
つないだ手はやわらかく、
抱きしめると、
ラベンダーみたいなよい匂いがする。


うむ、女の子をつくりだすのだ。


あたたかくて心地よい気分、
というのにぴったりではないか、
とかなんとか理由をつけなければ勢いがつかず、
思わずコホン、
と咳払いをひとつ。


こんなこと、
無関心な顔でなんなくこなすには、
エドモンドはまだまだ未熟もの、
己の至らぬ点を反省できるところがエドモンドのよいところ。


精進、あるのみ。
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