ありのままの、あなたが欲しい。
そんな家庭環境のおかげで、私と母、そして秋とは祖父達に隠れて月に数回会える程度だった。



当然だけど、秋は昔から整った顔立ちをしていて、優しくて紳士で…

私は彼のことが大好きだった。


それはもちろん恋愛感情なんかではなかったけれど、一緒に暮らしていなかったせいで本当の兄妹とはどうしても思えなかった。



“お兄ちゃん”と呼んだことも一度もない。


でもそれも仕方ないことで、きっと一緒に暮らせば徐々に“家族”になれるのだろうと思っていた。




そして私が小学校高学年になり、秋が中学へ入学する頃、ようやく私達の両親は離婚することになった。


私はまったく知らなかったけれど、母は裁判まで行っていたらしい。

それで親権を勝ち取った母は、ついに私を引き取ることが出来たのだ。



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