ありのままの、あなたが欲しい。

何と答えようかと思案したものの、言葉が見付からずぽつりと呟く。



「俺は良くても夏芽さんがどうだかなぁ…」


「え？なにー？」



よく聞こえなかったらしく、聞き返すマナトくんに苦笑いを返しながらさっきまでの場所に戻ってくると…



「……あれ？」



夏芽さんがいない。

シートの上には弁当が入っていたバッグが置かれているだけ。


辺りを見回すと、すぐ近くの木の陰に夏芽さんらしき姿が見えた。


そして──…


彼女の前には、一人の男性。



──誰だ？


ここから男の表情は見えないが、夏芽さんは俯いて困ったような顔をしている。