ありのままの、あなたが欲しい。
亜優は俺の髪に指を絡め、どこか遠くを眺めながら「全然…」と呟く。



「もういっそのこと叶に乗り換えちゃおうかな」


「……ダメ」



“その答えは分かり切ってた”と言うように、亜優はふふっと笑った。



──そう。


俺達の間に“愛”なんてない。


寂しい時、お互いがお互いのカラダを欲した時に、それを重ね合うだけ。


亜優だけは“好き”だとか愛を匂わせることは決して言わず、ただ快楽を求め合うだけのライトな関係でいられた。



だからなのか…


最近では亜優に身体だけじゃなく、心も委ねてしまいそうになる自分がいる。


それは亜優のことを愛してるというより、安心できるからだという方が正しい。


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