ありのままの、あなたが欲しい。
そんな賑やかなハイエースは緩やかな坂を下っていく。


この坂の下にある今俺らが向かっているのが、コンビニを少し大きくしたようなスーパーの“エリカ”だ。


店長の奥さんの名前をそのままつけたらしいその店は、地元民には需要が高いローカルなスーパー。


俺達はハイキングの後にそこへ寄って、お菓子を買うことがたまにある。


皆にとってはそれがとても楽しみらしい。



「こんちは!おっちゃん」



店に着くと、親戚のおじさんを呼ぶように片手を上げながら武田さんが中へ入っていく。


入ってすぐの所で野菜を並べていたおじさんが振り返り、ニッコリと目を細めて笑った。


< 97 / 395 >

この作品をシェア

pagetop