聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
 怜さんが言ったとおり、ナイトは当日がかなり忙しい。


 他の生徒と同じように担当する種目に出場しつつ、チアの格好で襲われまくるであろうジュエルを守らなきゃならない。

 三人のうち誰かが種目に出場している間は、その分の隙間を埋めなければいけないため仕事量は半端無い。


「ま、多分僕は貴方達を守る方が多いでしょうけどね」

 苦笑いしながら蓮先輩は言った。


 確かに蓮先輩はどちらかと言うと文化系タイプだ。

 種目も申し訳程度に一つか二つしか出ないんだろう。


「そうね、辰也先輩や黒斗くんは引っ張りだこでしょうし……頑張ってね、蓮」

 怜さんが激励の言葉を蓮先輩に向けた。


 ……語尾にハートマークでも付きそうな言い方がなんともわざとらしい……。

 案の定蓮先輩は引きつった笑顔をしていた。

「ははは……そんなことより、衣装合わせに来たんでしょう? そろそろだと思って見張り役として来たんです」

 もうその話は終わりとばかりに蓮先輩は話題を変えた。


 でも実際あたし達の予定は詰まってる。

 さっさと衣装合わせしないと。


「そうだった! ほら二人とも!」

 雪さんが本気で今思い出したという感じに言い、あたし達の腕を引っ張った。


 ああ……何だか雪さんに振り回されてるような気がする……。

 チアの衣装は正装のセーラー服と同じで、雪さんが赤、怜さんが紫、あたしが水色とそれぞれの色を基調としていた。


「あーやっぱりノースリーブなんだ。当日はなにか羽織るもの持ってこないとね」

「ミニスカートですか……ここまでしてもバレないって、ここの生徒って本当に馬鹿が多いんでしょうか……?」

 二人が衣装を見てそれぞれ感想を述(の)べた。


 雪さんの台詞はともかく、怜さんの台詞にはなんともコメントしづらい……。

 あたしは乾いた笑いを漏らしながら着替え始めた。

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