聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
 でも、黒斗の闇はその言葉だけで消えるほど優しいものではなかった。


「はっ! ……気付いたからどうだって言うんだ。自分じゃ何もしないでお前に頼むなら変わりないだろ?」

「違う! 弘樹は黒斗があたしと二人っきりのときには仮面被ってないの知ってたから! だからあたしになら何とか出来るんじゃないかって頼んできたんだよ!」

 あたしは、何とかあのときの弘樹の悲痛な思いだけでも伝えたくて、黒斗に掴みかかって叫んだ。


 黒斗はその腕を掴んで、自分からあたしの手を離す。

 そしてあたしの目を睨んだ。

「てめぇに、何が出来るって言うんだ?」


 低い声。

 暗い瞳。

 その雰囲気は、あの日、罰だと言ってあたしに触れてきた日のものより暗く威圧的だった。


「何も知らねぇてめぇに何が出来るって言うんだよ!」



 側にいるだけでも怖いと思うこの威圧感。

 睨まれただけで泣いてしまいそうになるその雰囲気。

 黒斗の闇が、完全に表に出てきた。

 そう感じた。


「てめぇなんかに、一人取り残された哀しさが分かるか!? 友達だと思ってたやつに突き飛ばされた絶望が分かるか!?」

 黒斗の言葉はそのまま黒い棘となってあたしの心に届いた。


「最後の希望だったセンコーにも見捨てられて、バスが落ちていく瞬間……あの恐怖が分かるか!?」


 痛い……。


「病院で目を覚ましたとき、あの世かと思ったよ。でも家族がいた。俺を心から心配してくれる唯一の人達」


 哀しい……。


「だから俺は家族以外の人間は信用しねぇんだ。センコーも、友達も……友、お前もだ」


 苦しい……。



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