聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
 黒斗の悲しみ、苦しみが伝わってきたようだった。

 黒斗の言葉が終わる頃には、あたしはボロボロと涙を流していた。


「分かったか? てめぇに俺は救えねぇんだよ。てめぇは大人しく、俺のオモチャでいればいいんだ……」

 最後にそう囁いた黒斗は、あたしの腕を離してその場から離れて行った。



 本当に、あたしは黒斗を救えないの?


 確かに、今話を聞いて苦しみや悲しみは伝わってきた。
 でもその感情が全てじゃない。

 怒り、憎しみ、絶望……他にも色んなものが黒斗の中には入り混じってる。


 
 そんな感情、あたしに理解できるわけが無い。



『何も知らねぇてめぇに何が出来るって言うんだよ!』



 ホント、何も知らない。

 黒斗のこと、理解してあげられない……。




 理解、出来ない……。





 あたしは、理解出来ない?


 違う……誰にも理解なんか出来ない!


 同じ体験したとしても、捉えかたも、考え方も人それぞれ違う。


 同じ存在でもなきゃ、完全な理解なんて出来ないよ!!




 あたしはそこまで思って立ち上がった。

 そして黒斗を追う。


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