聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

 以前俺の中にあった闇が、そのまま友への独占欲になってしまったみたいだ。

 本当なら、誰にも触らせたくない。

 誰にも見せたくない。

 閉じ込めて、俺だけのものにしたい……。


 でも、そんなことしたら流石に嫌われてしまうから……だからしない……。


 ……それにしても、俺は友がいなくなったらどうなってしまうんだろう……。

 俺の中で友の存在が大きくなっていく。

 友無しでは生きていけないくらい……。


 俺はそれを怖いと思う一方、心地いいとも思っている。


 俺の独占欲すらも、友を俺の元に縛る枷(かせ)にするかのように……。







 ふと、昼間友にキスしたやつのことを思い出した。

 思い出すと同時にあの時の嫉妬を思い出して、寝ている友にキスをする。


「んんぅ……」

 友は呻いて眉を寄せたから、俺は慌てて唇を離した。

 起こしてしまったのか、友は薄く目蓋を開ける。

 でもすぐに目を閉じ、頭を俺の胸に摺り寄せてまた眠った。

「黒斗……」

 俺の名前を呼びながら……。



 俺はまた友を起こさないようにため息をつく。


 もう本当にどうしてくれようか……。

 可愛くて仕方なさ過ぎる。


 俺ももう寝てしまおう。



 それと、昼間の男のことは忘れてしまおう。

 覚えていたら、またいつ思い出して友を泣かせてしまうか分からないから。


 旅行先で会った奴なんて、また会う確率はかなり低い。

 そんな奴のこと覚えていたって仕方が無い。


 だから、忘れよう……。



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