聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
 それも踏まえて口止めしておかなきゃならなかったのに……。


「どうしよう……今から戻って――」

「待て待て!」

 戻ってちゃんと口止めしてこようともと来た道を歩き出すと、黒斗に止められた。


「落ち着けよ。大丈夫だ、あいつの様子からいってそんなむやみにバラしたりはしない」

「何でそんなこと分かるの!?」

「同じだからだよ。俺とあいつが……」

 不安で不安で、今にも泣きそうなあたしに黒斗は苦々しく言う。


 自分で同じだと言っておきながら、それが堪らなくイヤだといった感じだ。

「同じ? どこが……?」

「……腹ん中にでっかい化け物飼っていそうなとこ」

 黒斗はムスッとした表情で答える。

 そしてあたしの顎を捕らえ、抱き寄せた。


「それと、お前のことが好きだって所」

 そう言ったときの黒斗の表情が一番不機嫌なときの顔になる。


「あいつもお前のこと好きだって言ったんだろ? だったら、バラしてお前を学園から追い出すようなマネはしない」

 そうして、顔が近付いてくる。


 やっぱりあたし、黒斗が好きだ。


 黒斗の手が当たっている所が熱い。

 黒斗の体温を感じて、あたしの鼓動はどんどん早くなっていく。


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