聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「はい、有り難う。じゃあ後は音楽室の中の中継テレビ見ながら待機してて。優勝者が来たときの対応は分かってるよね?」

「はい、もちろんです」


 自信を持って返事をした。

 劇の台詞を覚えるのに比べたら全くもって簡単なことだもん。


「よし、じゃあオレは今度は中継の方に回るから。それじゃあ!」

 そう言って去っていく役員に、あたしは飛び切りのジュエルスマイルを向けて励ました。


「大変でしょうけど、頑張ってくださいね」


 言った途端、役員はピタッと足を止める。


 そして少し間を開けた後、グッと親指を立ててニカッと笑った。

 その頬は少し赤い。


「今のブルートパーズの笑顔だけで今日一日どんなにハードだって頑張れるぜ!!」


 いや、流石にソレは無理なんじゃ……。


 呆れていると、役員は今度こそ「じゃあ」と爽やかに去っていった。



 あたしは役員の背中を見送ってから音楽室へ入る。

 中に用意されていたイスに座り、中継されるテレビをつけた。


 テレビはまだ真っ黒。

 そりゃそうだ、中継されるカメラはさっきの役員が撮るんだから。

 さっきココを離れたばっかりなのにすぐついたらおかしい。

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