聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「あなたみたいな人が友のナイトになってくれて良かった。この子自分の事自覚してないし、心配だったのよ」

 優しく微笑んだ雪さんに、あたしは不覚にもジーンとくる。


 いつも小言が多いのは心配してくれていたからだったんだ……。


 たとえ心配からくる小言でも毎日は勘弁して欲しいと思ったけど、このときばかりはちょっと雪さんに感謝した。




 そんな感じで、黒斗はあたしのナイトとして他の皆からも認められた。


 その後学園長にも報告して、黒斗が寮に引っ越す手はずを整えた。

 お披露目まであと数日しかないのもあって、色々とバタバタしたけど何とかギリギリ間に合った。


 引越しは雪さんたちにも手伝ってもらって、二日前には終わった。

 ちなみに部屋はあたしの隣。


 寮の中でも一人のナイトは一人のジュエルにつくものらしく、他の二人も隣の部屋に自分のナイトの部屋がある。



 そしてお披露目前日の夜である今は、辰也先輩と蓮先輩が黒斗に『ナイトの振る舞い方』とやらを教えている最中だ。



 ゴメン黒斗……あたしが早く決めなかった所為でこんなハードスケジュールなっちゃって……。


 あたしは自分の部屋に戻って心の中で謝る。

 ……ちゃんと後で本人にも謝っとかないと……。


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