聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「ったく……。ホントに俺が入り込むスキ無いのな」

 しかも手ごわいから諦めろってか。

「ホントに諦めるかな……。どんなに頑張っても友は俺を見てくれなさそうだし」


 そうして俺はまた深いため息をついた。


 と同時に、近くで女の怒りに満ちた叫び声が響く。


「もう! あたし家に帰るの! あんた達と遊ぶ気なんてこれっぽっちもないの!」

 あまりに大きな声だったから、思わず俺は声の主を探した。


 そして、道の端で二人の男に言い寄られている少女を見つける。


 身長は俺より下。

 友よりも小さいかもしれない。


 何となく気になって、俺はもう少し近付いてみた。

 そして息を呑む。


 だってその少女はめちゃくちゃ可愛かったから……。


 肩口で切りそろえられた黒い髪は絹のように艶やかで、目元は二重に長い睫毛で可愛らしさと美しさを兼ね備えている。

 通った鼻筋に形のいいふっくらとした唇。


 正直、顔だけ見ると友より好みだった。


「んなこと言わないでさぁ。ちょっとくらいいいじゃねぇか」

「そうそ、別に取って食おうって訳じゃないんだし」

 二人の男はその少女に尚も言い寄る。


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