聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「はぁ~~~」

 また、ため息をついた。


 やっぱり、自分勝手なのかな……あたし。


 そしてもう一つため息をつこうとしたとき、いつの間にか近くにいた弘樹があたしに聞いてくる。


「おい、何ため息ばっかりついてんだよ? やっぱり俺とデートするのイヤなのか?」

 その言葉で、文化祭のゲームの商品のことを思い出す。


 確か今度の日曜日に優勝者である弘樹とデートする約束をしていたんだ。



 すっかり忘れてた……。



 あたしは申し訳なさそうに言う弘樹に笑顔で否定した。


「違うよ。これは別のこと」

 そう答えると、今度は高志が話しかけてくる。


「じゃあ何でそんな深いため息ついてんだよ。悩み事あるんじゃねぇのか?」

「うっ」


 高志ってたまに鋭いよね……。


 でも弘樹や高志に相談するのは気が引ける。


 ついこの間まであたしを好きだと言っていた高志に、黒斗に無理矢理抱かれてるなんて言い辛いし。

 弘樹はそもそもあたし達が付き合ってることも知らない。


 他のことならともかく、この二人に今回の悩みを相談するのは難しかった。


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