聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「お前等お互いのことばっかり見てねぇで周りもよく見ろ。助けてやれる奴だっているんだからさ」

 そう言って幾分落ち着いた様子の拓馬は、ドアの方へ向かって行った。

 最後に振り返り、黒斗に一言言う。


「黒斗、もう好きな女泣かせんなよ!?」

 と、ニカッと笑った拓馬はそのままドアの向こうに消える。



 しばらくあたしと黒斗はそのままの状態で呆然としていた。

 頬にポツリと雨が当たり、正気を取り戻す。


「あ……黒斗、とにかく中戻ろう? 濡れちゃう」

「……ああ」

 そして急いでドアに向かった。

 雨は急激に降ってきて、あたし達はギリギリで中に入る。

 そして髪や制服についた雫をはらっていると、黒斗がポツリと謝ってきた。


「友……ごめんな」

「え?」

「俺、自分の都合ばっかり押し付けてたな……」

 さっきの怒りに満ちたものとは真逆の殊勝な態度に、あたしは少し驚く。


「そんな……。あたしだって悪かったトコあるんだし、謝らないでよ」

「いや、俺が悪かったんだよ。俺、お前に依存しすぎて周りが見えて無かった。……その所為でお前を傷つけた」

 なさけねぇ……と黒斗は俯く。

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