聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
 教室に戻ろう。

 教室で待っていれば、いつもの黒ぶちメガネの友が戻ってくるはずだから。


 普段と同じ友を見れば、この気持ちは気のせいだったんだとはっきりするさ。


 思い立ったが吉日――とも違うが、オレはすぐに教室に向かった。



 教室に戻ると、弘樹が「どこ行ってたんだよー」と声を掛けてくる。

 オレは落ち着きを取り戻すためにも、弘樹と雑談しながら友を待った。


 周りを見ると、クラスの奴らは誰一人として帰っていない。

 本当は今日はお披露目が終われば帰っていいはずなのに。


 もちろん友を確認するためだろう。


 今まで気にしていなかったやつがあんなに綺麗になったんだから、確認したくなる気持ちも分かる。

 その気持ちがただの興味本位だってことも分かってる。



 なのにオレはイライラした。


 オレはもっと前から友とは仲良かったんだ。
 他の奴が今更割り込んで来るんじゃねぇよ。


 これは、明らかに嫉妬。

 それに気付いて、オレは深くため息をつく。


「おいどうしたんだよ?」

 弘樹が心配そうに聞いてきた。
 弘樹は優しい奴だから本当に心配して聞いてきてるんだろう。


 でも今は聞くな!

 何も聞くな!!


「いや、何でもねぇよ。……友と黒斗、遅せぇなぁ……」

 またため息と共に呟くと、廊下の方がざわめいた。


 来たか!?


 勢い良く廊下の方に顔を向けると、弘樹が「来たみたいだな」と明るく言った。



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