聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「貴方の行為は退学ものですよ。2-Bの田代 雅紀(タシロ マサキ)先輩?」

「なっ!?」

 クラスと名前を言い当てられた田代先輩は目に見えて動揺していた。


「今すぐここを出て、もうブルートパーズに手出ししないと言うなら停学処分程度の報告にしておきますよ?」

「っくっ! ちくしょう!」

 そう捨て台詞をはいて、田代先輩はあたしの上からどいて早急に体育館倉庫から出て行った。

 バァン!

 扉を閉める際怒りを込めたのか、派手な音がした。


 その田代先輩の背中を見送った黒斗は、今度はあたしを見下ろした。


 はぁ…と呆れたため息をつく。


「友、お前バカだろ?」

 そう言ってしゃがんだ黒斗が、あたしを起こしてくれる。


「最近ジュエルスマイルとかいうやつで他の生徒は近付いて来れないからって油断したな? 俺がいないときにホイホイあんなやつについて行くなんて……」


 黒斗が色々言ってるけど、あたしはほとんど聞いてなかった。

 今更ながら、全身が大きく震えて止まらない。

 
「おい、聞いてんのか!?」

 そう叫んで黒斗はあたしの顎を掴み、視線を合わせる。



 黒斗だ……。

 皆に見せる仮面を外した、あたしの知るいつもの黒斗。

 何だかんだ言ってもいつも守ってくれるし、ファーストキスと処女を奪うって言ってても、無理矢理はしてこない黒斗……。


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