聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
 本性を知って大嫌いだと思っていたのに、あたしはその黒斗を見て安心してしまった。

「ふぇ……」

 途端に、涙が溢れてくる。

 あたしは、無意識に黒斗の胸にしがみついて泣いていた。

 黒斗は何も言わず、あたしの頭を撫でてくれる。

 その様子にあたしは更に安心して、声を上げて子供のように泣きじゃくった。





 黒斗のこと、嫌いだと思っていたけど違った。

 そりゃあ以前のように好きなわけじゃないけれど、少なくとも信頼はしていたんだ。


 とんでもない奴って思っていたけど、ちゃんと約束は守ってる。

 そういうところは、信頼出来るやつなんだ……。



 あたしは何だかんだ言いながら、黒斗を自分のナイトとして認めていたんだ……。

 このとき、あたしは初めてそれに気付いた……。

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