聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「ああ! そっか、シップシップ!」

 笑われた事に怒りもせず、慌ててシップを探し始める高志。

 あたしはそんな高志を呆れ笑顔で見ていた。


 高志はしょっちゅう腹の立つことを言うけれど、本当は友達想いの優しいやつだよね。
 こういうとき、それを実感する。


「あ、あった!」

 シップを見つけたらしい高志が戻ってくる。


「腕出せ、貼ってやるよ。どっちだ?」

「いいよ、自分で貼れる」

「でも貼りづらいだろ?いいから出せよ」


 そう高志が言うから、あたしはその言葉に甘える事にした。


 左腕を出してシップを貼ってもらう。

 貼りながら高志は「そういえば」と思い出したように話し出した。

「さっき弘樹も部活抜け出して見舞いに来たぜ。後で礼言っとけよ」


 弘樹もわざわざ来てくれたんだ……。


「ああ、分かった」

 弘樹はちょっと心配性すぎるところがあるから、後で電話でちゃんと伝えておこう。


「よし、位置大丈夫か?」

「うん、大丈夫だよ。ありがとう」

 高志に礼を言うのは照れ臭かったけど、やってもらったんだから言わないとね。


 あたしが照れながらも礼を言うと、高志は何故か目を見開いて固まってしまった。


< 81 / 364 >

この作品をシェア

pagetop