聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

ファーストキス


 目を覚ますと、見覚えの無い天井が見えた。
 ベージュ色のタイルを敷き詰めたようなシンプルな天井。


 ……そっか、泣き疲れてそのまま眠っちゃったんだ。


 ボーっとした頭でそんなことを思う。


「友、起きたのか?」

 すぐ側で聞きなれた声が聞こえた。
 黒斗じゃない、高志だ。

「あれ? 高志?」

 声の方を見ると、やっぱり高志だ。
 黒斗は何処にいるんだろう?
 それにここって……。


「ここは保健室。黒斗は教室に鞄取りに行ったよ」

 あたしの不思議そうな顔を見て疑問に気付いたのか、高志が答える。

「そっか」

「……あの田代って先輩に襲われたんだってな……。悪ぃ、やっぱりオレがついていけば良かった」

 高志はそう言って辛そうに顔を歪ませた。


「そんな、謝るなよ。オレがいいって言ったんだし! ――った!」

 そう言いながら慌てて起き上がった所為で、左手をついてしまった。

 ひねっていた事を思い出す。


「っおい! 大丈夫か!? どっかケガしてんのかよ!?」

「そんな慌てなくても……。ちょっと手首ひねっただけだって」

「そうか……でも保健の先生今いないんだよな。どうしよう……」

 高志はそう言って片手で頭を掻いた。
 体は落ち着いても頭の中はまだ慌てているみたい。

 あたしはそんな高志がおかしくてちょっと笑った。


「ははっ、だから慌てるなって。とりあえずシップ貼っとけば大丈夫だろ?」


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