愛・地獄変 [父娘の哀情物語り]
翌日娘は、嬉々とした表情で出かけていきました。
わたくしは作業場にこもりっきりでございます。
妻でございますか?
はてさて、女と言うものはまったく理解に苦しみますですよ。
あれ程に反対しておりましたのに、何やかやと世話を焼いております。
腹痛の薬だ、かぶれの薬だ、と。
それにしても娘の居ない日々は、やはり地獄でした。
針のむしろの日々でごさいました。
毎夜、妻に嫌みを言われ続けたのでございます。
「あなた、外でお食べにならないでくださいな。
栄養が偏りますよ。
あなたは、人一倍栄養には気をつけなくちゃいけないんですから。」などと、それはもう口やかましく言うのですよ。
わたくしが言い返さないことを良いことに、それはもう大げさに騒ぎ立てて。ま確かに、体を壊したのは確かでございます。
おかげで軍隊も・・。
しかしですぞ、もう十分に良くなっておりますよ。
あの日までは妻の手料理を食べておりましたですから。
滋養のある物をと、わたくしに用意してくれたことは忘れておりません。
そのお陰で、こうやって今まで頑張ってこれたのでございますから。
いっそ何も知らぬ方が良かったと、思わないでもありません。
しかしご親切心からの大木様でございます。
お別れする際には、
「どうです?梅村さん、離縁なさっては。
こう言っては何だけれども、小夜子さんの仕打ちはあまりのものと思うけれども。
なあに、後のことは心配ないから。
お店がね、あんた一人では成り立たないことなど、百も承知です。
内の娘がね、後添えに入っても良いと言っているんだけれども。」などと仰っていただいて。
ありがたいお話ではございました。
しかしわたくし、離縁などとは思いも寄らぬことでございます。
お気持ちだけを、と頭を下げてございます。
そうでございましょう?
妙子のことを考えますと、可哀相で。
あの国賊が父親だなどと知りました折には・・。
考えるだけでも、ぞっと致しますです。
わたくしは作業場にこもりっきりでございます。
妻でございますか?
はてさて、女と言うものはまったく理解に苦しみますですよ。
あれ程に反対しておりましたのに、何やかやと世話を焼いております。
腹痛の薬だ、かぶれの薬だ、と。
それにしても娘の居ない日々は、やはり地獄でした。
針のむしろの日々でごさいました。
毎夜、妻に嫌みを言われ続けたのでございます。
「あなた、外でお食べにならないでくださいな。
栄養が偏りますよ。
あなたは、人一倍栄養には気をつけなくちゃいけないんですから。」などと、それはもう口やかましく言うのですよ。
わたくしが言い返さないことを良いことに、それはもう大げさに騒ぎ立てて。ま確かに、体を壊したのは確かでございます。
おかげで軍隊も・・。
しかしですぞ、もう十分に良くなっておりますよ。
あの日までは妻の手料理を食べておりましたですから。
滋養のある物をと、わたくしに用意してくれたことは忘れておりません。
そのお陰で、こうやって今まで頑張ってこれたのでございますから。
いっそ何も知らぬ方が良かったと、思わないでもありません。
しかしご親切心からの大木様でございます。
お別れする際には、
「どうです?梅村さん、離縁なさっては。
こう言っては何だけれども、小夜子さんの仕打ちはあまりのものと思うけれども。
なあに、後のことは心配ないから。
お店がね、あんた一人では成り立たないことなど、百も承知です。
内の娘がね、後添えに入っても良いと言っているんだけれども。」などと仰っていただいて。
ありがたいお話ではございました。
しかしわたくし、離縁などとは思いも寄らぬことでございます。
お気持ちだけを、と頭を下げてございます。
そうでございましょう?
妙子のことを考えますと、可哀相で。
あの国賊が父親だなどと知りました折には・・。
考えるだけでも、ぞっと致しますです。