愛・地獄変 [父娘の哀情物語り]
穏やかな妻の質問に対して少々怯え気味に答えられる先生でしたが、罠にはまってしまったのでございますよ。
女郎蜘蛛に囚われた蝶でございました。
「先生!二十歳前の小娘たちですよ!
分別などあるわけがないでしょうに!
自主性などとおためごかしはお止めくださいな!」
「申し訳ございません、申し訳ございません。
けれども、妙子さんの純潔は守られてございます。
その点は大丈夫でございます。
手足に多少の擦り傷がございましたが、衣服の乱れもございませんでしたし。」
しかしそんな先生のお話を、妻は端から信じておりません。
医者の診察を受けてからだと、大仰に騒ぎ立てます。
「やめてよ、お母さん!
あたし強姦なんてされてないんだから。」と妙子が叫びました。
「妙子もああ言ってることですし、騒ぎを大きくしなくても。」
「あなたは黙ってなさい!とに角診てもらいます。
妙子、行きますよ!」
それはもう恐ろしいほどの剣幕でございました。
わたくしの話など聞く筈もございませんわな、血の繋がらぬわたくしの話など。
どれほどの時間が経ちましたか、二人明るく帰ってまいりました折には、わたくし、へなへなとその場に座り込んでしまいました。
「だから言ったでしょ、お母さん。
少しは娘を信用してよ。」
「信用するしないじゃありません。
こういうことは、念には念をいれなきゃだめなの。
後々にとんでもない病気が出ないとも限らないんだから。
でも何にしても幸いだったわ。
いいこと!これからはだめですからね。
お母さんの許可がない限り。」
肩をすぼめて、舌を出す娘でございます。
あぁその桜色の舌、なんと艶かしいことか。
その舌で、わたくしのこの淋しき唇を慰めてほしいもの・・お忘れください。
今の言葉はお忘れください。
女郎蜘蛛に囚われた蝶でございました。
「先生!二十歳前の小娘たちですよ!
分別などあるわけがないでしょうに!
自主性などとおためごかしはお止めくださいな!」
「申し訳ございません、申し訳ございません。
けれども、妙子さんの純潔は守られてございます。
その点は大丈夫でございます。
手足に多少の擦り傷がございましたが、衣服の乱れもございませんでしたし。」
しかしそんな先生のお話を、妻は端から信じておりません。
医者の診察を受けてからだと、大仰に騒ぎ立てます。
「やめてよ、お母さん!
あたし強姦なんてされてないんだから。」と妙子が叫びました。
「妙子もああ言ってることですし、騒ぎを大きくしなくても。」
「あなたは黙ってなさい!とに角診てもらいます。
妙子、行きますよ!」
それはもう恐ろしいほどの剣幕でございました。
わたくしの話など聞く筈もございませんわな、血の繋がらぬわたくしの話など。
どれほどの時間が経ちましたか、二人明るく帰ってまいりました折には、わたくし、へなへなとその場に座り込んでしまいました。
「だから言ったでしょ、お母さん。
少しは娘を信用してよ。」
「信用するしないじゃありません。
こういうことは、念には念をいれなきゃだめなの。
後々にとんでもない病気が出ないとも限らないんだから。
でも何にしても幸いだったわ。
いいこと!これからはだめですからね。
お母さんの許可がない限り。」
肩をすぼめて、舌を出す娘でございます。
あぁその桜色の舌、なんと艶かしいことか。
その舌で、わたくしのこの淋しき唇を慰めてほしいもの・・お忘れください。
今の言葉はお忘れください。