死が二人を分かつまで
『その人と一緒に、生きて行く事を決めた』


目の前が滲んできた。


室内にいるのに、一瞬その手紙が雨で濡れたのだろうかと錯覚した。


しかし、その数秒後、進藤は自分が涙を流しているのだということを認識する。


『進藤君の事は、本当に大好きだったよ。その気持ちに、嘘はないよ。でも、それよりも、もっと大きな気持ちに、気付いてしまったから』


鳴咽がもれた。


『進藤君、しあわせになってね』


進藤はその場に泣き崩れた。


泣いて泣いて、体中の水分が抜け出てしまうのではないかと思うほど泣き続けた。


他のすべての事を拒絶するように、ただ泣く事だけに専念した。


朝を迎え、太陽が進藤を取り巻く世界を照らし、その役目を終えてまた西の空に沈む頃、ようやく彼はフラフラと起き上がり、そのままアパートを出る。


もう、何もかもがどうでも良くなっていた。


偶然目に留まった自動販売機で酒を買い、アパートに戻ると無理矢理流し込んだ。


生まれて初めての飲酒であった。


かつて経験したことのない吐き気と頭痛に襲われ、洗面器に縋りつく。
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