死が二人を分かつまで
「私どものことは、ある程度ご存知なんですよね……」

「ええ。と言ってもご両親の代わりにさとし君を育てられた、という事くらいですが」


津田の言葉に知子は神妙な顔付きで頷いた。


「私達にはなかなか子どもが授かりませんでした。原因は私にあったんですけど…」


彼女は少し苦しそうな表情になり、目を伏せる。


「治療はしていたんですけどね、効果はなくて……。そうこうするうちに30の大台に乗ってしまって。年齢を重ねれば出産は厳しくなってきますし、子供はもう無理だろうな、と考え始めました。今でこそ30歳を過ぎてからの初産なんて珍しい事ではありませんが、昔はやはり、それくらいまでに出産するのが一つの目安でしたから」


「そうですか……」


何と答えたら良いか分からず、津田はとりあえずそう返答した。


「そんな矢先、小夜子さんが亡くなって、さとしちゃんを引き取る事になったんです。私はその事に対して抵抗はありませんでした。小夜子さんの為にも、ぜひともそうしたいと思いました。でも、主人は『何で好き勝手やってたあいつの息子を引き取らなくてはならないんだ』と言って激怒しまして」
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