死が二人を分かつまで
「まぁ、ご主人からすれば、色々と複雑ですよね」


本来なら知子の方がさらに複雑な心境になっても不思議ではないのであるが。


自分の子どもがなかなか授からない中、血の繋がりのないさとしを引き取る事になったのだから。


しかし、本人の言葉通り、その事に対してのわだかまりはないようなので、津田は余計な事は言わずに黙っておいた。


「義父や義母に説得されて、渋々承諾したんです。世間体を気にする人ですから、最終的には自分が引き取らない訳にはいかないだろうと判断したんでしょう」


知子はため息をつき、続ける。


「だけど主人は、とにかくさとしちゃんには厳しくて…。私は子どもができなかった事が負い目になっていて主人には頭が上がりませんでしたし、義父達も、無理矢理さとしちゃんを養子にさせた事を後ろめたく思ったのか、主人の方針にはあまり口を挟まず、積極的にさとしちゃんの味方をしないようにしていました」


「なるほど」


「二人にとっては孫ですから、本当はすごく可愛かった筈ですけど、うかつに甘やかしたりするとさとしちゃんがさらに主人に厳しく当たられてしまう恐れがありますしね」
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