死が二人を分かつまで
金子はまるで自分のことのように喜んでいる。


「まぁ、一回見に行ってみないとな。実際に歌を聞かないことには何ともいえない」

津田はその感情に流されないように、あえて冷静に言葉を繋いだ。


しかし、最初に彼の写真を見た瞬間から、会いに行くことは決めていた。


とっさに「この件は自分に任せて下さい」と部長や周りに宣言したほどだ。


そういういきさつがあり、金子はわざわざ津田にまた同じ内容のメールが届いている事を伝えたのである。


しかしそう宣言はしたものの、津田はなかなか思うようにスケジュール調整ができなかった。


このままでは他の者に任せる羽目になるのではないかと、内心ヒヤヒヤしていたのだった。


そもそも、すでに他の事務所が接触してしまっている可能性もある。


メールで寄せられる情報から、火、木の19時以降なら出会える確率が高いということがわかっていた。


そして、明日は木曜日。


津田は、ようやく空き時間を作る事ができたので……。


というよりも、無理矢理空けたので、必ず明日は会いに行かなければと、改めて心に誓っていた。
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