死が二人を分かつまで
今回のメールにも写真が添付されていた。


20歳前後の男性が、野外でギターを手に歌っている姿が写し出されている。

「ルックスは問題ないですよね」

「まあ、そうだな」


メール添付の画像でも整った顔立ちである事は分かるし、そして適度に野暮ったいところがまた良い。


すでに完成されているものには大衆は興味を抱かないものだ。


「自分が育てている」感覚を味わえるのがたまらないのだから。


「歌い出したのはつい最近みたいなんですよね。レパートリーもあんまりないみたいですし。それでも、もうこれだけ人気があるんだから、すごいですよね~」

「といっても、繰り返し送ってきてる奴もいるから、人数でいうとそんなに多くはないけどな」


推薦人は、大抵本名ではなく匿名である。

自分の素性を明かす必要はないと思っているのだろう。

事務所側も個人情報の記載などは別に強制していない。

しかしアドレスから、同じ人物が彼の情報を熱心に送ってきていることは一目瞭然である。


そしてそういう人物が、一人だけではなく複数いるのだ。


「だからすごいんじゃないですか~!短期間で、それだけコアなファンを獲得したってことなんだから」
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