死が二人を分かつまで
ラジオ局にタレントを送っていかなければならないのだ。


重要な、新規の仕事の打ち合わせなどはまだ任せられないが、送迎要員としては重宝している。


『うるさい奴がいなくなってせいせいした』と内心毒づきながら、津田はさとしの隣に腰を下ろした。


「俺も、あともうちょっとしたら出かけなくちゃならないんだ。質問があるなら今のうちに」


「はい」


その言葉を受け、さとしはせっせと書類に必要事項を記入していく。


「実家からでも、充分通えるよな?でも、こっちで一人暮らしする事を選んだんだ」


津田は住所の欄を見ながら思った事を口にした。


この前、さとしの家には津田の車で訪問したのだが、3、400メートルほど離れた場所にバスの停留所があった。


あれで大宮駅まで行ける筈である。


通学にさほど不便とは思えない。


「伯父に言われたんです。学生のうちから一人暮らしして、自分で自分のスケジュールを管理できるようにしておけって。社会人になって、それが必ず活きて来るからと」


「なるほどね。伯父さんて、甘えは許さない、って感じの人だもんな」
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