死が二人を分かつまで
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「あら、こんばんは~」


進藤はギクリとした。


またもや帰宅時、部屋の前で川嶋と遭遇してしまったからである。


「この前はどうも~。甥御さんは元気?」


「あ、いや、甥ではなくてですね……」


説明しようとする進藤の言葉は相変わらず全然耳に入っていないようで、川嶋は続けた。


「実はね、この前言おうと思ったんですけど、今度うち引っ越す事になったんですよ」


「えっ?そうなんですか?」


意外な展開である。


「ええ。郊外に家を建てる事になって」


「それはおめでとうございます」


進藤は作りものではなく、自然に笑みを浮かべた。


「いつかはマイホームを、と思ってコツコツ貯めて来ましたから」


「そうなんですか」


「本当はお父さんが退職したら、そのお金と併せて一括で購入しようと思ってたんですけど。ローンは何だか怖いですものね」


「そうですね」


「それに都心に一戸建てはとてもじゃないけど無理だし。そうすると、お父さんの通勤に負担がかかっちゃうから、慌てて建てなくても良いかなって。ずっとアパート暮らしで、別に不満はなかったですし」


進藤はうんうんと相槌を打った。
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