死が二人を分かつまで
彼自身も、別に無理して一戸建てに住みたいとは思っていなかった。


賃貸ならば、建物が古くなったり飽きたりしたら気軽に引っ越しできるし、固定資産税やその他諸々の維持費で頭を悩ませる必要もない。


「でも、このたび息子が結婚する事になりまして」


「あ、そうだったんですか」


進藤はさらに驚いた。


「しかも、お嫁さんになる人が最初から同居してくれるって言うんですよ。だったらこのタイミングで二世帯の新居を建てちゃおうか、なんて話になりまして」


「おめでたいことづくしですね」


「息子もいくらか負担するって言ってくれてるし。この辺が潮時かしらと思いましてね」


そこで川嶋は眉尻を下げ、とても残念そうな表情になった。


「せっかく進藤さんと仲良くなれたのに、お別れするのはとても淋しいんですけれど」


こういうのは果たして仲が良いと言うのだろうか?と進藤は内心疑問に思ったが、もちろん余計な事は言わずに黙っておいた。


「あ、でも、家が建つのはまだまだ先のことですから」


そこで川嶋はニッコリと微笑んだ。


「それまでに、進藤さんに良いお相手を見つけて差し上げなくちゃね」
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