死が二人を分かつまで
「ん~。なんか、いかにも優等生って感じでさぁ。俺はスレてるというか、あまのじゃくだったから、昔からああいうタイプは天敵だったのよ」


「……」


「だから重箱の隅をつつくようにして欠点を見つけては『ほらな、完璧な人間なんていやしねーよ』なんて一人ほくそ笑んだりして」


さとしは返事に困ったような表情になった。


話の方向を間違えたか?これでは俺がただの嫌な奴ではないか、と津田は内心焦る。


「でも、進藤さんは、すごく良い人ですよ?」


「ああ、そうだな。俺がひねくれてるだけだから」


津田はやけくそになって返答した。


しかしさとしは、そんな彼の顔をじっと見つめながら言葉を紡ぐ。


「だけど僕は、津田さんも、すごく良い人だと思います」


そしてニッコリと微笑んだ。


「……お前ってホント、天然ジゴロだよな」


「え?」


そんな趣味はない筈なのに、不覚にも、津田はさとしの笑顔に一瞬クラリとしてしまった。


「はぁ~、こりゃ、ますます心配になってきた…」


津田はため息混じりにそう呟くと、両手で頭を抱え込んだのだった。
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