死が二人を分かつまで
込められた想い
「あ~、だりぃ」


自分のデスク前に腰掛けていた津田は立ち上がると、部屋の角に置いてある衝立まで気だるそうに移動した。


正方形に区切られたその空間の中に鎮座する、3人掛けのソファーに倒れ込む。


社員の食堂兼休憩室は別の場所にあるが、この部屋でも休息ができるよう応接セットが設置されていた。


電子レンジと湯沸しポットも用意されている。


壁際のコンパクトなサイズの食器棚には部署内の人間が持ち込んだカップラーメンやレトルト食品、そして何故か週刊誌などが所狭しと押し込められており、汚いことこの上ないが、津田はそこに居るととても心が落ち着いた。


最近の彼の過密スケジュールは半端ではなかった。


この忙しさはイレギュラーな業務、つまりさとしの為に動いた時間があったからである。


当初期待していた周りからのフォローはあまりなかった。


皆それぞれ抱えている仕事があるのだから仕方ない。


それに津田自身、やはり他のタレントもないがしろにする訳にはいかない、と頑張ってしまったのだ。


しかし、それももうしばらくの辛抱。

ノルマは着実にこなしてきた。


これからは少し余裕が出てくる筈である。
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