死が二人を分かつまで
「お前は今でも誤字脱字が多いけどな」


ツッコミをいれたが、すでにデスクまでたどり着いていた金子にはその声は届かなかったようで、返事はなかった。


名前の漢字の難易度で言ったら津田も若干難しい方である。


彼の下の名前は【昌哉】。


由来は単純で、母親が「昌子」で父親が「直哉」だから、それをくっつけて「昌哉」である。


単純ではあるが、それでも津田は自分の名前に誇りを持っていた。


両親から命を吹き込まれたという事が実感できる、二人の愛がこもった素晴らしい名前だと思っている。


『さとしは一体どういう由来でつけたんだろうな』


津田はあくびをしつつ考えた。


あえて平仮名であるのは、何か意味があるのだろう。


ああ、間に【と】が入っているし、俺と同じで誰かと誰かの名前をくっつけて【さとし】なのかもしれない。


たとえば………。



「小夜子と進藤で、【さ】と【し】とかな」


ただの言葉遊びだった。


眠い頭で、浮かんだ名前をただ単純に並べたに過ぎない。


しかし、津田は次の瞬間、自分で自分の考えに驚愕した。


ガバっと跳ね起き、衝立から飛び出して行く。


「うわ、びっくりした」


金子が驚いて声をあげた。
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