死が二人を分かつまで
彼とは、ある番組がきっかけで知り合った。


何らかの理由で失踪、行方不明になってしまった人々を探し出すというもので、津田の担当していたタレントがその番組の司会を務めたのである。


彼はその調査を依頼された、探偵事務所の所長だった。


本来なら調査員は陰で動くもので、出演者のマネージャーである津田と挨拶を交わす必要は無い。


しかし「若くして独立した、すごく優秀な人だから、もしもの時の為に名刺交換しといたら?」などとプロデューサーから冗談半分で紹介され、顔見知りとなった。


そして実際、彼にはその後、何度か調査を依頼する事となる。


「さっそくだけど、調べてもらいたい事があるんだ」


津田はこれまでの経緯を簡単に説明した。


自分の中に芽吹いている、ある考えを。


彼に、その真実を見つけてもらいたかったのだ。


「そうですか。お話は分かりました」


「当然、本人達には気付かれないようにやってもらいたい。引き受けてもらえるかな?」


「ええ。もちろんです」


「どれくらいかかるだろう」


「そうですね……。今回すでに予備知識がありますし、それほどお待たせせずに済むと思います」


「じゃ、何か掴めたら連絡をくれ」


「かしこまりました」



彼は来た時と同様、まるで空気のように、フワリとその場を去って行った。
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