死が二人を分かつまで
突然の訪問者



進藤の住むアパートはすぐに分かった。


しかし、車を停める場所がない。


津田は車をノロノロと走らせながら辺りを窺ったが、月極めの駐車場しか見当たらなかった。


その近辺はアパートが密集して建ち並んでいるので、そこに住む人々が主に借りているのだろう。


もちろん部外者は停められない。


そうこうするうちにT字路にぶつかったので、仕方なく左に曲がった。


道に沿ってぐるりと回ってまたアパート前に戻ってこようと考えたのである。


すると、右手前方に公園らしきものが見えた。


入口に僅かなスペースがあり、車1台くらいなら何とか停められそうだ。


津田はそこに車体を頭から突っ込み、エンジンを止めた。


ブランコと砂場と屋根の付いた休憩所があるだけの、小さな公園である。


敷地は黒い鉄柵で囲われていた。


入口付近は街灯があるので明るいが、奥の方は隣接しているアパートと数本の木が影をつくり、深い闇に包まれている。


昼間は近所の子ども達の遊び場として賑わうのだろうが、この時間帯はとてもじゃないが足を踏み入れる気にはなれなかった。
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