死が二人を分かつまで
「あ。車だから、アルコールはダメだぞ」


カウンター越しに、津田が声をかける。


「どこに停めて来たんだ?」

「近くに公園があるだろ?そこに置いて来た」

「ふ~ん」


進藤は一瞬迷ってから冷蔵庫を開けてペットボトルの緑茶を取り出すと、リビングに戻り、津田の目の前に置いた。


「なんだよこのまんまかよ。コップくらい出せよな~」


津田の育ちの良さが垣間見え、意外に思いつつ、進藤も腰掛けた。


何となく距離を置きたかったので、テーブルを挟んで、彼の斜め向かいに。


「しっかし、40手前の独身サラリーマンなんだから金はたんまりあるだろ?ずいぶんと庶民的なとこに住んでんだな。今どきオートロックじゃないなんて」


リラックスした様子でペットボトルを傾けながら津田は言葉を発した。


「そんなの俺の勝手だろ。それに、若い時はこれとは比べものにならないくらいのボロアパートに住んでたから、これでも充分俺にとっては贅沢なんだよ」


このアパートは本来ファミリー向けである為、一人で使うにはかなり広々としていた。
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