死が二人を分かつまで
リビングダイニングキッチンの他に6畳の洋間が二つ、そして大きめのバスとトイレが、きちんと独立して付いている。


しかし、客を通すリビングと寝室は明確に分けたかったし、さらに納戸として使える部屋があれば便利だろうと考え、進藤はここに越して来る事を決めたのだった。


「学生の時からこの街に住んでるのか?」


「うん。社会人になってからもしばらくはそのボロアパートに居たんだけど、取り壊される事になって。それで不動産屋にここを紹介されて移ったんだ」


「他の街に行こうとは思わなかったのか?どうせならもっと会社に近い所とか」


「ん?いや……。住み慣れた場所のが良いし。それに、別に通勤には差し支え無いしな」


「小夜子さんとの、思い出の街だからだろ」


進藤は不意を突かれた。

「だから、離れる気にはなれなかったんだろ?」


とっさに言葉が返せない。


「さとしもまた、小夜子さんに導かれてこの街に来た。きっと、小夜子さんがお前とさとしを引き合わせたんだろうな」


「そうかも、しれないな……」


しんみりとした口調で呟いた進藤に、さらに津田は言葉を投げかけた。
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