死が二人を分かつまで
自覚



津田の訪問を受けたあの日から、進藤は彼の言葉を何度となく思い返していた。


『ようするに、これからも良いお友達として、さとしと付き合っていけということだろうか?』



ならば、何も問題は無いではないか。津田に言われなくても、自分とさとしの関係はすこぶる良好だ、と進藤は内心胸を張った。


しかし……。


わざわざそんな事を言う為に深夜、アパートを訪ねて来たのだろうか?


下見に来たと言っていたが、津田の職業柄、住所さえ把握しておけば目的地にたどり着くのはたやすい筈である。


しかも今はカーナビという文明の利器もあるのだ。


忙しい身であろうに、わざわざあのタイミングでアパートの位置を調べに来る必要はあったのだろうか。


そこまで考えて、進藤は自分の思考がまた振り出しに戻っていることに気がついた。


周りから「典型的なA型」とよく言われる進藤は、気になる事柄が浮上すると、深く考え込んでしまう傾向にあった。


意外にあっさり解答が得られる場合もあるが、長きに渡って一つのことを悶々と悩み続ける事の方が多い。
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