死が二人を分かつまで
それに腕時計を愛用している者は、ついつい時間を確認するクセがついてしまっている。


無いと気分が落ち着かないものだ。


しかし、大学生ならばある程度性能の良い物を身に付けたいと思うはずであるし、そうするとなかなかの出費となってしまう。


今のさとしには負担になるのではないかと思った所で、進藤はふいに閃いた。


「腕時計なら、俺の使ってくれない?」


「え?」


「今着けてる時計、ソーラーで電波だからもう手放せなくてさ。昔買ったやつは全然使わなくなっちゃったんだ。アナログだけど、それで良ければもらってよ」


「でも…良いんですか?」


「うん、ぜひ。さとし君に使ってもらえれば無駄にならないし。これから家に来ない?」


少し考えてからさとしは「じゃ、お言葉に甘えて」と答え、ニコッと微笑んだ。


その笑顔を見た瞬間、進藤は『あ、しまった』と思った。


『余計な事を言ってしまったか…?また津田に怒られるのでは…』


そう考えてから進藤は『いや、待て待て。何でいちいちアイツに遠慮しなくちゃいけないんだ?』と自分で自分に突っ込みを入れた。
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