死が二人を分かつまで
進藤はふと思い直し、その時計を無造作に引き出しの中に放り込むと、振り向いた。


半開きのドアの向こうに、背中を向けて佇んでいるさとしの姿が見える。


勝手にリビングに行ってくつろいでいて良いのに、そういう事ができない性格なのだ。


自分の着けている時計を外しながら、進藤はさとしに近づいた。


気配に気付いて振り向いた彼の左腕を取ると、その細い手首に巻き着ける。


まるで何かの儀式のようだ、と進藤は思った。


誓いの言葉は言えないが。


「進藤さん?」

「やっぱり、こっちの時計をあげるよ。あっちはデザインも古いし」


「え?でも、これ、進藤さん愛用しているんですよね?」


「いや。良いんだ」


「そんな。ダメです。もらえないですよ」


さとしは慌てた様子で時計のベルトに手をかけた。


その指の動きを、進藤は両手で押さえ込んで阻止する。


外して欲しくはなかった。


「受け取ってくれ。せんべつだよ」


「せんべつ…?」


手を離し、深呼吸すると、進藤は切り出した。


「君はこれから色々と忙しくなるし、俺とはあまり会わない方が良いからね」


「えっ?どうしてですか?」
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