死が二人を分かつまで
経理部の自分が接待などした事はないが、黙ってれば分かりはしない、と彼は心の中で呟く。


「あら~そうなの?お仕事関係なら仕方ないわね」


川嶋は意外にもあっさりと引き下がった。


まぁ、それはそうだ。

また、次の相手を見つけてくれば済むだけの話なのだから。


「しかし、僕はもう40近いおじさんですからねー。僕なんかに声をかけるより、他のもっと若い人をお誘いした方が良いんじゃないでしょうか?」

「あら、男の40はまだまだこれからですよ!特に進藤さんは、とても若々しくていらっしゃるじゃな~い」


川嶋ははしゃぎながら言葉を繋ぐ。


「体型はスラッとしてらっしゃるし、髪の毛は羨ましいくらいサラサラツヤツヤしていて。お顔立ちも、俳優になれそうなくらい整ってらっしゃるもの」


「いや、そんな…」


「わたしがあと10歳若ければねぇ~」


お約束のギャグを飛ばし、アッハッハと笑う。


「それにね」


川嶋は上機嫌のまま続けた。


「もちろん、進藤さん以外の方にもちゃんとお声かけしてますから、お気になさらないで」
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