死が二人を分かつまで
その点をはっきりさせたくて、津田は彼に調査を依頼したのだ。


書類をめくり、中身に目を通す。


失踪前後の小谷小夜子の行動を時系列で箇条書きにしたものと、それを裏付ける、当時の関係者の証言をまとめたものだった。


「……近所の内科で診てもらってたんだな」


「ええ。本人は最初、風邪だと思っていたようですね」


津田の呟きに、彼が答える。

「あの辺は区画整理されていて、当時とは街並みが大分様変わりしてしまったようです」

「でも、そこは運良く残ってたんだ」

「ええ。少し場所をずらして建てなおし、今でも診療を続けています。小夜子さんを診察した医師は、彼女の事を鮮明に覚えていましたよ。その界隈では評判の美人だったそうで」

「そう」

「医師は小夜子さんに、専門医にかかり直すようにアドバイスをし、紹介状を書いたそうです。しかしある日突然姿を消してしまったので『おや?』と思ったとか」

「近所で注目の的だったのなら、色々と情報が入って来ただろうしな」


「しかし、きっと結婚の為に急遽引っ越す事になったのだろうと、あまり深くは考えなかったそうですが」
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